てんかん
てんかんは誰にでも起こりえる病気です
当院では小児のてんかんは診察できません。
小児の専門病院にご相談ください。
てんかんの有病率は100人に1人程度ととても身近な病気です。生まれつきてんかん症状をお持ちの方もいらっしゃれば、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性硬膜下血腫、頭部外傷などといった各種脳疾患によって後にてんかん症状を生じられる方も多くいらっしゃいます。てんかんの正体は脳の表面にある神経細胞の異常発作です。正しく治療を継続することによって症状をコントロールすることが可能となります。
てんかんが起きるメカニズムとは
脳内では情報伝達のための微弱な電気信号が日夜駆け巡っています。その電気信号が視覚や聴覚などの感覚情報をはじめ、感情や身体の運動機能などをつかさどる重要な役目を担っています。しかしなんらかの原因によって、脳内の神経細胞が突然激しい電気的興奮を起こしエラーとなることがあります。てんかんとはまさにこの一連の発作を繰り返し起こしてしまう状態を言います。自分の意識とは関係なく突然起こる症状であるために、タイミングやシチュエーションによっては危険な状態となりうるため注意が必要です。
てんかんの主な症状
脳のどの部分で電気的興奮が起きるかによっても症状は千差万別に異なります。
意識障害
ご自身ではてんかんが起きていることがわからないのが特徴です。
徐々に意識が遠のく・突然意識を失う・周りのことがわからなくなる・記憶がなくなる・頭がボーっとする など
けいれん
ぶるぶると体が震えて以下のような運動機能の障害が現れます。
手足や顔がつっぱる・ガクガクと震える・ねじれたように曲がる・傾いた状態で引っ張られる など
視覚や聴覚の異常
目の前がピカピカと光る・音が響くように聞こえる・耳が聞こえにくくなる など
自律神経系の異常
頭が痛くなる・突然吐き気がする など
言葉が出にくい
一時的に言葉が出にくい状態となる など
認知症と間違われやすい高齢者のてんかん
一時的に言葉が出にくくなったり、ボーっとしてしまう場面だけを切り取れば、ご高齢の方ほど認知症と間違われてしまうケースがよくあります。救急搬送されてきた患者さんの脳を詳しく調べてみると「実はてんかん症状だった」と判明することもよくあります。当然のことながら認知症とてんかんの治療法は異なります。前述した通り、てんかんは脳疾患によっても発症することがあります。気になる症状がみられる場合には、まずは詳細な検査を加えて精緻な診断を受けることが大切です。
てんかんは大きく分けて2種に分けられます
特発性てんかん
明らかな脳の病変や異常は特にみられないものの、慢性的にてんかん症状が起きます。生まれつきてんかん症状をお持ちの方が多いです。小児期や老年期にみられる傾向があります。
症候性てんかん
脳の特定の一部分が発端となって電気的興奮が引き起こされます。脳に何らかの障害が起きていたり、脳の一部が損傷したことによって起きるてんかんです。
当院は高度な脳波検査が受けられる数少ないクリニックです
てんかんの診断においてはCTやMRIを用いた脳の画像検査に加えて、脳波検査が必要となります。頭部に電極をつけ、30分から1時間程度をかけて脳波を計測します。てんかんがみられる場合には、棘波や鋭波などといった特有の脳波が認められます。クリニックレベルで高度な脳波検査が受けられる場所は数少ないです。まずは当院で検査を加えて、正しい診断を受けることが大切です。
現在は検査技師不在につき脳波検査は中止しております。
てんかん薬も近年では劇的な変化を遂げています
直近10年をみても、てんかん薬は劇的な変化を遂げました。かつて一般的に用いられてきたような古いてんかん薬は、胎児に影響を与える可能性(催奇形性)が懸念されるようなものでした。加えて服用中は血中濃度を頻繁に測ることも必要とされる、少々取り扱いが難しい薬でもありました。しかし、近年ではてんかん薬も安全性が高いものが続々と開発され、特に女性の患者さんにおいてはより安心してご使用いただけるようになりました。
新規抗てんかん薬
胎児に影響を与える不安が少なく、従来のような血中濃度の計測も不要となったてんかん薬です。ほとんどのてんかんが新規抗てんかん薬によってコントロールできるようになりました。
もっと多くの方に安心して服用いただける薬選びを目指して―
てんかんに悩む患者さんの中には若い女性の方も多くいらっしゃいます。従来の一般的なてんかん薬では胎児への影響が危惧されていたため、実際の診療現場においては服用を控える患者さんが多くいらっしゃることも事実でした。しかし近年では目覚ましい医療の進化とともにそういった不安も払しょくされた、より安心安全な薬が続々と開発されるようになりました。安全性の高い薬をいち早く現場に取り入れ、病気に苦しむ患者さんにご提供することも私たちが担うべき大事な使命です。どんな薬においても副作用はゼロとは言えませんが、できるかぎりその理想に近づける薬を選択し、より安心安全な医療をこれからもスタッフ一同ご提供し続けます。
正しく診断を受け、正しく治療を続けることが大切です
日々、救急搬送されて来る患者さんの中には、実はてんかんが原因で倒れられた方も多くみられます。その実情としては薬を飲み忘れてしまったがために起きたケースも多いです。何か特有の原因があって引き起こされているてんかんの場合には、正しい診断と正しい治療を継続することである程度のコントロールが可能となります。てんかんは慢性的に起こる発作です。ご自身の状態をまずは正しく理解し、これからもうまくつきあっていくためには正しく対策を講じることが重要です。本格的なてんかん治療を行うためには専門性の高い医療機関へのご紹介が必要となります。当院では随時、提携の医療機関へのご紹介も行っておりますのでまずはご相談ください。
治療にあたってはご家族や周りの方のご理解とご協力があわせて必要となります
当院では最新の治療法を積極的に取り入れた診療を行っております。さらに専門性の高い治療が必要と判断された場合には、随時、提携の医療機関へのご紹介もさせていただいております。てんかん治療にあたっては、ご家族や周りの方のご理解とご協力も不可欠となります。突然の症状に襲われるてんかん患者さんは、毎日不安なお気持ちとともに過ごされています。少しでも安心して日々の生活を送れるように、ご本人とともにご一緒に力強くサポートいただければと思います。