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髄膜腫

[2022.06.17]

髄膜腫とは?

髄膜腫は頭蓋骨の内側にある、脳を包んでいる硬膜という組織から発生する腫瘍です。つまり脳そのものから生じる腫瘍ではなく、脳の外側に発生して脳を圧迫する腫瘍です。基本的に良性であるため、ゆっくり大きくなるのが特徴です。しかし、まれに急速に大きくなる悪性の髄膜腫も存在します。

髄膜腫は最も発生頻度の高い脳腫瘍で原発性脳腫瘍の約25%を占めます。100 万人の人口に対して年間20 人程度に発生すると言われており、40~50歳代以降の中高年に多く、性別では女性の方が男性よりも多い傾向にあります。

最近は、頭痛や頭部外傷、脳ドックなどで、気軽にCTやMRIなどの画像診断を受けるようになって、見つかる場合も増えています。

 

髄膜腫の症状

小さい腫瘍は無症状ですが、やがて大きくなってくると脳や神経を圧迫して様々な症状が出てきます。髄膜腫が発生した場所に応じた局所症状と、腫瘍が非常に大きくなったために頭蓋内の圧が上がり頭痛、嘔吐、視力障害、意識障害などの病状が出ることもあります。

 

髄膜腫の検査

造影剤を使用しない単純のCTやMRの検査で髄膜腫は診断することができますが、髄膜腫を疑ったりより詳細に診断する場合は造影剤によるCTやMRIを施行します。手術をする際は脳血管撮影を行うことがあります。

 

最近の手術例

50代男性 主訴:頭痛、ふらつき

(患者さんより承諾を得て公開しております)

MRI:長径6cm大の左後頭蓋窩テント髄膜腫 脳幹と小脳の圧迫を認める

造影MRI画像(左:軸位断、中央:冠状断、右:矢状断)

髄膜腫の治療法

一般に髄膜腫の治療法には、手術と放射線治療の2つがあります。髄膜腫のほとんどが良性腫瘍であり、1年で平均1-2mm程度しか大きくならないことが多いので、発見されたときに腫瘍があまり大きくなければ、どの程度の早さで大きくなるか、しばらく経過を見ることもあります。

 

手術

腫瘍がすでに大きく、脳を圧迫して症状が出ている場合は、手術を考慮します。院長がドイツ臨床留学で学んだ世界的権威であるProf. BertallanfyやProf.Samiiと同じ手術方法を導入し、より安全に手術を行うことが出来ます。この手術法では従来の手術法と比べて、出血が少なく短時間で手術がすることができ、患者さんへの負担が少ないのが特徴です。また症例によっては手術中にナビゲーションシステムや神経を刺激する神経モニターを使用して運動機能や聴力や顔面神経を温存します。

 

術後3か月の造影MRI画像(左:軸位断、中央:冠状断、右:矢状断)

腫瘍は腫瘍付着部であるテントを含めて全摘出した

(Simpson grade1)

 

放射線療法

放射線治療には、ガンマナイフやサイバーナイフといった局所的に放射線を当てる特殊な装置を用います。この治療は体への負担が少なく、体力のない患者さんや他の病気を患っている患者さん、高齢の患者さんには有効な治療法で、治療に要する時間も手術に比べて短くて済むという特徴もあります。しかし、全ての患者に効果があるわけではなく、さらに腫瘍が小さくなるまでに時間がかかるという欠点があります。また、放射線による副作用として、脱毛、頭痛、悪心、嘔吐、めまい、全身倦怠感、中耳炎などが挙げられます。
これらのことを踏まえて、当院では症状が出ないようにすることを前提に、基本的にまず手術で腫瘍を出来るだけ摘出し、手術後に残った腫瘍や、再び大きくなった腫瘍には放射線療法を検討するという方針で治療しています。

 

まずは外来受診を

頭痛や手足の動かしづらさなどの症状のある方は髄膜腫の可能性があります。まずは当院に相談してください。また、いままでの豊富な経験に基づいて髄膜腫に対しての治療に対して診察やセカンドオピニオンを随時受け付けております。

 

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